茅ヶ崎・O邸
〜囲われた敷地にたつ、国産材を使った開放的なガレージハウス
サザンビーチから程近い住宅地、わずかな接道部分を除き周囲を住宅に囲まれている立地条件。近いとはいえ海は見えない。
この囲われた環境を逆手にとり、むしろ落ち着いて安定したプライバシーの高い環境と良い方向に捉えて、そこに湘南の温暖な気候と海まで徒歩10数分という地の利を活かし、内外共に開放的かつプライバシーとのバランスを図りながら、将来にわたりサスティナブルで柔軟に、そして家族が楽しく暮らせるような家を考えた。
初期案では外周4面をほぼ全てガラス張りとし、木造ながら金物と接着剤で端部を固めたラーメン構造として計画、バルコニーと部分的な木製ルーバーによってプライバシーとのバランスを保とうと考えた。しかしながら、準防火地域にあって開口部を防火設備とせねばならないことから、建築費高騰のさなか、コストコントロールによって構造は在来構法の範疇で接合部の金物を見せない方法に見直したうえで、いくつかの筋違部はガラス張りから壁とする案で最終的に落ち着いた。
海沿の地域にあって、いずれ復活したいと考えている趣味の車やバイクが外置きではすぐに錆びてしまう。そこでビルトインガレージと兼用した広い土間をエントランスホールとし、車さえだせばDIYの工作や室内の遊び場、読書や音楽鑑賞など、多目的に使うことができる場所とした。もともと囲われていて1階の日当たりに難があったところに、さらにバルコニーを庇がわりにし、夏には涼しい場所となるように考えた。
このように1階は趣味やリモートワーク時の仕事場、将来の個室など、子どもや家族の成長に合わせて、設えを変えられるようにと耐力壁ではなく家具によって間仕切る。
2階は日当たりの良い場所や借景できる箇所に開口部を設けて、明るいLDKとし、バルコニーをバッファゾーンとし、手摺壁との組み合わせでプライバシーを保つようにと考えた。バルコニーには露天風呂も設置した。
クライアントは多摩美術大学で共に建築を学んだ学友でもある。ご縁に感謝!
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国産・紀州杉の構造材を一部あらわしとしています。
そのほか、
・タイル張りの特注造作キッチン
・造作本棚による間仕切り
・バルコニーFRP防水立ち上がりを利用した露天風呂(通称:いけす)
・LIXILが展開する新ブランドのモニター試用
・室内循環型ダクトレスのレンジフード
・吊り階段
・特注ガレージドア(準防火地域において網入ガラスではない防火設備)
(スチール溶融亜鉛メッキ+耐火ガラス+Low-Eペアガラス)
・複合サッシ(準防火地域において網入ガラスではない防火設備)
(アルミ+樹脂フレーム+耐火ガラス+Low-Eペアガラス)
・スウエーデン製の換気扇(湿度センサー連動可変回転数)
・施主施工の数々(塗料による壁塗装、ドイツ製の床の保護塗
・バルコニーとバスルームのウッドデッキ)
・(見えないですが)屋根断熱にセルロースファイバーを採用
などなど、見所も盛り沢山です。
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- 竣工
- 2021年4月
- 所在地
- 神奈川県茅ヶ崎市
- 構造
- 木造 2階建て
- 延床面積
- 99.36 m² (30.06坪)
- 敷地面積
- 159.37m²(40.20坪)
photo by GEN INOUE