市川の家

市川の家

計画地は千葉県市川市の住宅地、校庭グラウンドに面した交差点の角地。ここで育ったデザイナーである長男夫妻の家族が、これまで住み続けた木造住宅の老朽化により建て替えを計画、クライアントの生活スタイル、あるいは法規制や予算的な与条件から、同居型二世帯住宅とした。

前面道路を挟んだ向かいの校庭の桜をはじめとした樹々を借景し、見晴らしや視認性が良い代わりに、開放感とプライバシーの両立が求められた。また、交差点にあり一方向が微妙にずれているため、交通事故防止などの安全面にも配慮したい。

規模的には同居する80歳を超えた母親が天寿をまっとうするまでに、子どもの成長のタイミングとの兼ね合いで、一時的に手狭になる可能性が高い。そこで、家族の成長やライフスタイルの変化に併せて柔軟に部屋や設備を入れ替るなど、間取りの更新を容易にできるように考えた。

まず、建蔽率の角地緩和ボーナスを有効に使うために、要望にはなかったが1階にビルトインガレージを提案し、さらに駐車場として容積率の緩和も適用、これにより建築面積と延床面積を最大化することで以前の家に比べて家族にとって必要な床面積を確保するとともに、+αのゆとりのスペースを実現。 南面にはリビングとつながる庭も持ち、目隠しフェンスや車避けのコンクリート塀によって、ワンクッションおいてから緩やかに街や校庭グラウンド側に開く。
2階リビング案も比較検討しつつ、将来への対応や地域とのつながりを優先して、1階リビング案を採用することに。 1階北側に配置したビルトインガレージは、車で出勤するので平日にはそのスペースが子どもの遊び場やDIYの作業場、一時的な物置として利用する。

2階は個室間の可動間仕切りの開け閉めによって、子ども遊び場や一時的な来客の宿泊から将来の間取りの更新にも柔軟に対応する。 その他、水回りや洗濯物干しスペースに加え、階段ホールに自宅でのワークスペースを配置した。竣工後にはコロナ禍においてリモートワークでフル稼働することとなる。この階段ホールの吹き抜けを通じて上下階で離れていても家族の気配や雰囲気が伝わる。
2階は外部にウッドデッキをグルリと半周まわし、プライバシーを確保しながらも視界が抜けて開放感が高く、明るい室内を実現した。

余談ながら、クライアントは多摩美テニス部の先輩にあたるデザイナーであり、学生時代から親しい付き合いをしてきた間柄。設計の機会を与えていただき建築家としての喜びに堪えない。

ご家族、とりわけお母さまには100歳を超えるまで、この家で孫の成長を見守ってながら共に健やかに楽しく、さらに次の世代にまでも長く安全で快適に過ごしていただきたい。

竣工
2019年10月
所在地
千葉県市川市
構造
木造軸組構造 2階建
延床面積
104.65m²(31.66坪)
敷地面積
91.99m²(27.82坪)

photo by 宍戸ヤスオ