磯子の家

磯子の家

敷地面積が14坪強という狭小地において、同居型の2世帯住宅への建て替えを計画した。近隣商業地域内にあって住宅やアパートが高密度に建ち並んでいる。

敷地境界からギリギリの施工寸法で平面計画された建物は、屋根と北側の外壁がガルバリウム鋼板で一体となってつながり、道路面からはカーポートを兼ねた デッキがしつらえられていて、それらが外観上の特徴になっている。玄関前には趣味の釣り道具の置場や下ごしらえの水回りも備える。

2階に共有スペースとしてLDKと水廻りを配置。光を大きく取り込み、階段やデッキを内部空間の延長上に置くことで視覚的な広がりを持たせている。友人や 親類が集まる機会が多いとの事で、限られたスペースを有効に使うためアイランドキッチンを中心としたコミニュケーションの場を考えた。一体として使うリビ ングダイニングスペースはフレキシブルに使える座のスタイルとし、あえて床レベルを一段高くすることで、座にすわる人、キッチンに立つ人、カウンターの椅 子にすわる人、それぞれの目線の高さが近づくように配慮されている。釣って来た魚の調理にも腕前も披露できる。

1階の親世帯居室は隣地通路部分を借景しながら光や風など外を感じつつも、閉じて落ち着いた空間に、3階は夫婦の広めの主寝室があり、将来は子どもの増加 と成長に合わせて間仕切りをする。近隣の屋根越しに開放的な印象。また、防火上の内装制限の厳しい準防火地域内の木造3階建において随所に合法的に燃代計 算をした天然木材をあらわしで用い、友人である大工さんの仕事のあとを見せることでより愛着がわくとともに、暖かみのある、優しい空間に設えた。

余談ではあるが、夫婦の友人の大工さんを指定して工事を依頼したことで、更に思い入れが高まった。更に偶然にも全体の施工を発注した工務店の現場監督と大工さんが学校の同級生とのことで、ご縁を実感した。

竣工
2011年7月
所在地
神奈川/横浜市
構造
木造 3階建て
延床面積
49.07m²(14.84坪)
敷地面積
95.79m²(28.97坪)

photo by GEN INOUE