LA CUISINE FRANCAISE Verveine [ヴェルヴェンヌ] +A邸

LA CUISINE FRANCAISE Verveine [ヴェルヴェンヌ] +A邸

横浜の郊外において評判のフレンチレストランの新築移転、および同オーナーの住宅を計画した。小さな建物ながらも1階に独立した店舗を、2〜3階を専用住宅とした複合用途施設。この隣地が中村の自邸と弊設計事務所の建設予定地という縁で設計を依頼いただいた。 計画地は面積が16坪強という狭小地のうえ、間口がわずか4m、奥行きが14mという極端に細長い形状。これは元々は間口が8mで33坪程の広さだった敷地を2つに分割して販売したためである。 とにかく間口が狭い。初期の試案段階は建物間口を1間半(2.73m)+αと仮に設定して建設可能な最大間口を確保する方針からプランや構造の検討に入った。 同時に隣地の中村自邸と合わせて一体的に敷地を有効利用する案などあらゆる可能性をあたってみた。しかし、一体化は融資条件や法制度、予算とコスト、将来の建替や資産価値の面から現実でないうえに、得られるメリットはさほど大きくは無かった。 また、プランを検討するにつけ、どうも最大スパンでは必要な客席数や厨房機器を設置できそうにもないことがわかった。

そこで隣地建物とは完全に別棟とし、建物間口を客席2.275m、厨房2.17mと試案段階よりもむしろ細長い形状とし、階段などの要素を持ち出した。この逆転に発想により諸条件をクリアすることができた。 構造方式についてもあらゆる可能性を検討し、最終的にはコストが一番抑えられる在来工法による木造軸組工法の範疇とした。最高で10.5倍という高い壁倍率のダブルウォールや土台のめり込み防止金物を特注するなどの工夫によって、客席が耐力壁によって分断されることを避けることができた。 北東側や道路の反対側は駐車場であり、早朝の採光や眺望がよく、遠方からもよく目立つ。住宅部分の生活感があまり表にでないように、プライバシーにも配慮して開口部を計画した。万が一、駐車場がマンションに建替えられた場合でもトップライトや引きをとった窓配置により、採光や通風は確保できる。狭いながらも現場製作の変形特注FRP浴槽によって念願の足を伸ばしてゆったりと入浴できるお風呂も実現した。 南西側隣地には引き続き中村自邸が着工する。このちいさな2つの隣接する建物によって街並の景観形成に寄与できれば幸いである。

竣工
2014年5月
所在地
神奈川県横浜市
構造
木造軸組工法 地上3階建て 準耐火構造
延床面積
106.07m²(32.01坪)
敷地面積
55.00m²(16.63坪)

photo by GEN INOUE