多摩美術大学八王子キャンパス計画 工芸棟

多摩美術大学八王子キャンパス計画 工芸棟

 多摩美術大学の新設学科のひとつである工芸科の実習棟です。
 専攻はガラス、金属、陶の3種類にわかれます。これらの施設も彫刻棟と同様に分棟形式で考えていましたが、改組転換に伴う学生数の増員により、完全な分棟は難しくなったため、構造上は3棟ですが法規的には1棟の扱いとなるプランになりました。
 どの専攻においても、一般的にはあまりなじみの無い特殊な設備が数多く設置され、特に多量の火気を扱う窯や炉は、消防法上の厳しい規制を受けました。
 多量の火気使用室は、火災の火元になった場合に全ての窓やドアなどの開口部が自動で閉鎖しなければいけないのですが、すべてに自閉式シャッターをつけるコストの余裕は無く、かといってただでさえ暑い部屋の窓を減らすわけにもいきません。
 そこでメーカーと共同開発して箇所2~3万円程度の増額ですむ自閉装置を造り、サッシュに取付けることで消防の許可をとりました。
 設計期間・工期・コストともに非常に厳しい条件でしたが、使い手の意見が数多く取り入れられた施設に仕上がったと思います。