根岸の家
計画地である台東区はほぼ全域が防火地域(一部準防火地域)に指定されており、防火地域では新築にあたり延床面積100㎡以上、もしくは2階建て以上の建物は耐火建築物としなければならない。従来は耐火建築物とするには鉄筋コンクリート造や鉄骨造となり、建築コストの負担が大きかったが、建築基準法が改正され、木造でも耐火建築物の建設が可能となったことで、近年、木造耐火構造の仕様規定の整備が進んできている。
その防火地域にあって、中低層の雑居ビルや高層マンション、木造の低層住宅や店舗、お寺などが密集して混在する地域において、3階建て木造住宅を耐火建築物として計画した。
東側道路で南側に高いビルが近接するやや細長い形状の計画地において、トップライトと吹抜や階段を組み合わせて設けることで、2階に配置したLDKや1階の居室の採光を確保、北側の柔らく安定した光も積極的に採り込み、視界の抜ける部分には隣地の庭園の樹木を借景するなどの工夫をした。
3階は吹抜け面して個室の前室としてホワイエを、1階には必要な耐力壁を満足しつつ、ガレージとガラスを多用した狭さを感じない工夫をした玄関を設けた。
徐々に着工棟数が増えつつある木造耐火建築、構造方式の選択肢が広がったことで実現が可能になった事例であり、今後の都内の建て替え需要にも期待が持てる。
- 竣工
- 2016年7月
- 所在地
- 東京都台東区
- 構造
- 耐火木造 3階建
- 延床面積
- 149.36m² (45.18坪)
- 敷地面積
- 68.97m² (20.86坪)
photo by 小川重雄